変動金利が1%を突破した——でも、あなたの返済額が上がる日はいつか?

「変動金利が15年ぶりに1%を突破した」というニュースを見て、焦った人も多いだろう。でも少し待ってほしい。あなたの毎月の返済額は、今月から本当に上がっているだろうか。

おそらく、まだ変わっていない人の方が多い。それは錯覚でも安心でもなく、住宅ローン変動金利の「タイムラグ」という仕組みの話だ。

目次

要点3つ

① 毎月型と年2回型——「1%突破」は全員の話ではない

変動金利には、大きく2つのタイプがある。

年2回見直し型(大手銀行・地方銀行の多く)は、毎年4月1日と10月1日に基準金利を見直す。しかし4月に見直した金利が実際の返済に反映されるのは7月からだ。さらに日銀が4月28日の会合で追加利上げを決めた場合、それが反映されるのは最短でも10月見直し→2027年1月返済分になる。

毎月見直し型(ネット銀行系)は、毎月1日に市場金利の動きを反映する。住信SBIネット銀行が2025年12月18日以降の契約から切り替えたのが代表例で、こちらは金利上昇がダイレクトに、速く返済額に乗ってくる。

「1%突破」と報じられているのは主にこの毎月見直し型の適用金利だ。年2回型の借り手には、まだ数カ月のタイムラグがある。同じ「変動金利1%時代」でも、あなたの返済額が上がる日は銀行によって半年〜1年ずれる。

② 「返済額が変わっていない」は安心ではない——5年ルールの罠

元利均等返済(大多数の人がこれ)には「5年ルール」がある。金利が変わっても、返済額は最長5年間据え置かれる仕組みだ。さらに「125%ルール」で、5年後の見直し時も前回の1.25倍を超えて上がらないように上限が設けられている。

一見、借り手を守る仕組みに見える。しかし実態はこうだ。

返済額8万円が変わらなくても、金利が上がると内訳が変わる。

元本返済分利息分
金利上昇前5万円3万円
金利上昇後3万円5万円

通帳の引き落とし額は同じ8万円だが、元本の減り方が鈍くなっている。5年後に返済額が見直されたとき、残高が想定より多く残っているケースが生じる。「変わっていない」は安心ではなく、後払いで利息が積み上がっているサインでもある。

③ 今後の日銀利上げで「いつ・いくら上がるか」

日銀は2025年12月に政策金利を0.75%へ引き上げた。市場では4月28日の金融政策決定会合での追加利上げ(0.75%→1.0%)観測も広がっている。

年2回型の借り手に対して、今後の影響がいつ来るかを整理するとこうなる。

日銀の動き銀行の見直し返済額への反映
2025年12月 利上げ0.75%2026年4月見直し2026年7月〜
2026年4月 利上げ(予想)2026年10月見直し2027年1月〜

では実際いくら上がるのか。残債3,500万円・残期間30年の場合、金利が0.25%上がると月々の返済額は約4,000円増(30年トータルで約144万円増)が目安だ。0.5%上昇なら月々約8,000円増になる。

「月4,000円くらいなら」と思うかもしれないが、同じ時期に光熱費・食費・社会保険料も上昇している家計にとって、この積み重なりは決して小さくない。

関連記事

背景ちょい足し:今から固定に切り替えるべきか

「変動から固定に切り替えた方がいいのでは」という声もよく聞く。2026年4月現在、10年固定金利は2.5〜3.0%台が中心だ。変動の現状(0.9〜1.1%台)と比べると1〜2%の差がある。

切り替えのタイミングと費用(手数料・保証料)を考えると、一概に「今すぐ固定へ」が正解とは言えない。ただし、自分のローンが毎月型か年2回型か、5年ルールの適用状況がどうなっているかを確認していない人は、まずそこから始めることをすすめたい。通帳ではなく、金融機関から届いている「残高証明書」や「返済予定表」を引っ張り出してみてほしい。

ひとこと

焦るより、まず自分のローンのタイプを確認することが先決だ。

「1%突破」は事実だが、それがあなたの財布に響く日は、ニュースの日付とは違う。半年後かもしれないし、5年ルールの中に静かに積み上がっているかもしれない。住宅ローンは「借りた日」より「返し続ける日々」の方がずっと長い。だからこそ、今この静かな変化期に、一度立ち止まって手元の書類を確認してほしいと思う。

参照・出典

あわせて読みたい

この記事を書いた人

目次