日経平均が、はじめて6万円を超えた日——株を持っていない私たちも、この数字を覚えておいた方がいい理由

今日の朝、東京株式市場で日経平均株価が史上初めて6万円の大台を突破した。

数字だけ聞いても、ピンとこない人も多いかもしれない。でも少し立ち止まって考えてみると、これはなかなか大きな出来事だ。

リーマンショック直後の2009年、日経平均は7,000円台まで落ち込んでいた。そこから約17年で8倍以上。そして4万円から5万円に上がるのに約1年かかったのに、5万円から6万円への1万円幅はわずか半年という、アベノミクス以降で最速のペースで達成した。

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なぜここまで上がったのか——AIという「一点集中」

今回の上昇を主導したのは、AI・半導体関連の銘柄だ。

ソフトバンクグループが9.6%高、ルネサスエレクトロニクスが8.7%高——世界中でAIへの投資が加速し、データセンターの建設ラッシュが続いている。その恩恵を受ける半導体メーカーや製造装置メーカーに、海外の投資マネーが集中して流れ込んでいる。

市場では「AIツルハシ銘柄」という言葉も生まれた。ゴールドラッシュの時代、金を掘る人より「ツルハシを売る人」が儲かったという話と同じ。AIの恩恵を直接受けなくても、AI開発に必要な半導体や製造装置を作る日本企業に資金が集まっている。

「K字相場」——喜べない人たちもいる

ただし、この株高が「日本全体の好景気」を意味するかというと、そうではない。

市場関係者が指摘しているのは「K字相場」という言葉だ。K字の上の斜線と下の斜線のように、上がる銘柄と下がる銘柄がくっきり分かれている状態を指す。AI・半導体関連は急騰する一方で、内需型の中小企業や、物価高に苦しむ小売・飲食関連は取り残されている。

6万円の日経平均は、一部のグローバル大企業が押し上げた数字でもある。

株を持っていない人にも関係する話

「株なんて持っていないから関係ない」——そう思う人もいるかもしれない。でも、実はそうともいえない。

まず、NISAで投資信託を積み立てている人は、じわじわと恩恵を受けている。インデックスファンドの資産残高が増えているはずだ。

次に、公的年金だ。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は国内株式に約25兆円以上を運用しており、株高は将来の年金財源に直接影響する。「自分には無関係」どころか、老後の生活の基盤に静かに関わっている。

過熱感と、この先の不安

もちろん、手放しに喜べない側面もある。

今日の相場も、午前中に6万円をつけた後は利益確定の売りが膨らんだ。専門家からは「一部の銘柄に割高感がある」「企業の決算内容次第では急落もある」という慎重な声も上がっている。

日銀の利上げ方針が続けば、円高に振れて輸出企業の業績を圧迫する可能性もある。6万円はゴールではなく、新たなリスクが生まれる起点でもある。

それでも、この日付を覚えておきたい

株価の数字は、その時代の空気を映す鏡でもある。

2009年の7,000円台はリーマンショックの絶望を、2020年の急落はコロナの混乱を映していた。そして2026年4月23日の6万円は、AIという技術革新への期待と熱狂が、世界中の投資マネーを日本市場に引き寄せた瞬間として刻まれる。

「株高なのに生活は苦しい」という矛盾した実感は、まだ続いている。でも今日という日は、後から振り返ったときに「あの頃、確かに何かが変わり始めていた」と思い出す一日になるかもしれない。

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この記事を書いた人

時事・経済・社会問題を「身近な視点」から読み解くライター。日常のちょっとした引っかかりを起点に、政治・経済・テクノロジーの動きを平易な言葉で伝えることをテーマにしている。よりみち世相録では、3分で読めるニュース解説を毎週更新中。

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