今年の4月から、公立小学校の給食費が「全国一律で無償化」されたと報じられた。たしかに制度は始まった。でも「全員タダ」になったかというと、少し違う。
知っておきたい「壁」がある。
国が出すのは「月5,200円まで」という現実
今回の制度の仕組みはこうだ。国が児童1人あたり月5,200円を支援する。この金額は全国の給食費の平均(約4,700円)に物価上昇分を加えたものだ。
問題は、実際の給食費が5,200円を超える自治体では差額が生じること。その分は各自治体が負担するか、保護者に請求するかを自治体が決める。
「全国一律」と言いながら、超えた分の責任は自治体任せ——この構造が現場を混乱させている。
最大1,400円の差——都道府県で給食費が違う理由
実は給食費は自治体によってかなり異なる。全国の給食費を比べると、最も高い福島県は月5,314円、最も低い滋賀県は3,933円で、その差は約1,400円にもなる。
この差が生まれる理由は主に三つだ。食材の調達コスト(地域の農産物が使えるか)、給食センターか自校調理かという施設の違い、そして自治体がどれだけ独自に補助してきたかの歴史的な経緯。
福岡県の都市圏では、支援額の5,200円を給食費が上回ってしまい「国が言い出したのに、なぜ超えた分は自治体が払うのか」という声が自治体から相次いだ。
中学校はいつから?「速やかに」の曖昧さ
もう一つの問題は、今回の無償化が「公立小学校のみ」という点だ。中学校については「速やかに実施する」という方針が示されているが、具体的な時期は決まっていない。
小学校6年間はタダで、中学校に入った途端に月5,000円前後の給食費が復活する——そういう家庭が生まれる可能性がある。
住む場所で子育てコストが変わる、この国の構造
今回の給食費無償化で見えてくるのは、日本の子育て支援が「住む場所によって大きく変わる」という構造的な問題だ。
実はこの格差は給食費だけではない。保育料、医療費の助成範囲、学童保育の料金——これらはすべて自治体が決める部分が大きく、同じ子育て世帯でも、住所が違えば年間数十万円の差が出ることもある。
「子育て支援の充実」という言葉は全国一律に語られるが、恩恵が届く量は、郵便番号によって変わってくる。
一次情報・出典
- 日本経済新聞「公立小学校の給食無償化、所得制限設けず月5200円 自維公が合意」
- 日テレNEWS「給食無償化に自公維が合意…26年度小学校から開始、中学校でも速やかに」
- ジチタイワークス「給食無償化はいつから全国一律で始まる?制度概要・自治体の対応ポイントを解説」
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