「電車にも障害者割引って、あるんじゃないの?」
そう思ったことはありませんか。水族館や動物園、高速道路。障害者手帳を見せると料金が半額になる場所は、けっこうあります。だったら、毎日たくさんの人が使う電車やバスにも——そう考えるのは自然なことだと思います。
でも、いざ調べようとすると、これがなかなか分かりにくい。今どきの駅は、きっぷも改札も自動化されていて、人と顔を合わせる場面がほとんどありません。ちょっと聞きたいことがあっても、駅員さんがどこにいるのか分からない。私もそうでした。
今日は、車社会に住む私が「障害者用Suica」の存在を知り、実際に取得した話です。窓口で1時間並んで、初めて知ったことがたくさんありました。これから取得を考えている方の、モヤモヤを少しでも減らせたらと思って書きます。
そもそも、電車の障害者割引は「人のいる改札」が前提だった
調べてみて、まず分かったのがこれでした。電車の障害者割引を受けるには、基本的に「人のいる改札口」を通る必要がある、ということ。
昔ながらの紙のきっぷを窓口で買って、有人改札で手帳を見せる——これが従来のやり方です。でも、自動改札が当たり前になった今、これは意外とハードルが高い。特に、私の住むような無人駅の地域では。
そんな中で見つけたのが「障害者用Suica」でした。いつも使っているあのSuicaに障害者用があって、自動改札でそのままタッチするだけで割引が適用される仕組みだというのです。詳しくは窓口で聞ける、と。これは行ってみるしかありません。
無人駅に住む私が、窓口を探して大きな駅まで行った話
ここで最初の壁にぶつかります。「その窓口、どこにあるの?」問題です。
私の地域は、移動はもっぱら自動車。駅の近くに住んでいないと、電車に乗る機会そのものがなかなかありません。そして、いちばん近い駅は無人駅。話を聞ける窓口なんて、どこにもないのです。
もうひとつ、恥ずかしながら遠回りをしました。最初、近くを走る私鉄に問い合わせたのです。そうしたら「それはJRさんに聞いてください」と。障害者用Suicaは、JR(東日本)のサービス。私鉄の改札で使えても、私鉄の窓口でSuicaは扱っていなかったのです。(これから取得する方は、最初からJRの窓口に相談してください。ここ、意外と間違えやすいポイントです。)
結局、電車に乗って、新幹線も停まる大きな駅まで行くことにしました。そこなら、大きな「みどりの窓口」があるはずだからです。
みどりの窓口で知った、5つの意外なこと
大きな駅のみどりの窓口は、想像をはるかに超える混雑でした。整理券を取ると、明らかに順番が遠い数字。これは、3時間くらいかかるのではと思うくらいの数字でした。県外へ向かう人、払い戻しの人、外国人観光客——窓口はフル回転です。私は運よく1時間ほどで呼ばれましたが、時間に余裕を持って行くのは絶対条件だと痛感しました。
持って行ったものは、身体障害者手帳です。そして、自分の番が来て、担当のお姉さんから丁寧に教えてもらった内容が、知らないことばかりでした。順に紹介します。

1. きっぷの割引は「片道101km以上」が条件
昔ながらのきっぷで一人で割引を受けるには、片道101km以上乗る必要があります。ちょっとそこまで、では割引にならないのです。
2. 障害者用Suicaなら、近い駅でも割引になる
ところが、障害者用Suicaを使えば、距離が短くても割引が受けられます。「101km以上」の壁を越えられる。これが最大のメリットです。……ただし、大事な条件がありました。
3. 障害者用Suicaは「2枚で1セット」だった
これがいちばん驚いたことです。障害者用Suicaは、「障がい者本人用」と「介護者用」の2枚がセット。この2枚を、同時に・同じ経路で使ったときに、自動改札で割引が精算される仕組みなのです。つまり、近距離での割引は、介護者と2人で乗るときにしか使えない。一人で使う場合は、結局「片道101km以上」の条件に戻ります。
(このサービスの対象は、第1種の身体・知的・精神障害者の方と、その介護者1名です。第2種の方は対象外、という点も窓口で知りました。ご自身がどれに当たるかは、手帳や自治体の窓口で確認できます。)
4. 有効期限は1年。でもチャージは無駄にならない
カードには有効期限があります。購入した日から1年後の、その月の末日まで。切れる前に窓口で手帳を見せれば、また1年延長してもらえます。「期限が切れたらチャージしたお金はどうなるの?」と不安でしたが、チャージ額はそのまま使えるとのこと。忘れずに更新すれば問題なさそうです。
5. 今は、窓口以外の申し込み方法もある
私は窓口で取得しましたが、あとで知ったところ、近年はWEBでの手続きサービスも始まっているようです。3時間待ちの窓口を思うと、使える人はそちらも検討する価値がありそうです。
正直な感想——「モバイルSuica」みたいに手軽ならいいのに
無事に取得して、チャージもして。手続き自体は、お姉さんが忙しい中とても丁寧に教えてくださったおかげで、すんなり終わりました。感謝しています。
そのうえで、正直な感想を書くと——「もう少し手軽だったらな」と思いました。
実は私、普通のモバイルSuica(スマホで使えるSuica)も持っています。正直まだ使い方をよく分かっていないのですが、あの、スマホをかざすだけで改札を通れる手軽さ。あれに慣れると、「2枚のカードを介護者と一緒に、有効期限を管理しながら使う」という障害者用Suicaの仕組みは、どうしても少し不便に感じてしまいます。制度がある、そのこと自体はありがたい。でも、必要な人がもっと気軽に使えるように、これから進化していってくれたら——そう願わずにはいられませんでした。
これから取得する人へ——私からの3つのアドバイス
同じように「取得してみようかな」と思っている方へ、遠回りした私からの申し送りです。
- 聞くのは「JR」の窓口へ——障害者用SuicaはJRのサービスです。私鉄ではありません。最初からJRのみどりの窓口を目指しましょう。
- 時間には、たっぷり余裕を——大きな駅の窓口は、とにかく混みます。整理券で3時間待ちも珍しくありません。午前中の早い時間を狙う、予定に余裕のある日に行く、といった工夫を。
- 手帳を忘れずに——手続きには身体障害者手帳(または療育手帳・精神障害者保健福祉手帳)が必要です。これがないと始まりません。
まとめ——見た目で分からなくても、制度は静かにそこにある
障害者用Suicaを取得してみて、いちばん感じたのは、「制度は用意されているのに、たどり着くのが難しい」ということでした。無人駅に住んでいると窓口が遠い。自動化が進むほど、人に聞ける場面が減る。知らなければ、そのまま素通りしてしまう情報です。
私はまだ、このSuicaで実際に電車に乗って割引を受けたことはありません。次に使う機会があったら、その使い心地も「使ってみた編」として書きたいと思います。
障害にはいろいろな形があって、見た目や会話では分からないものもあります。だからこそ、こういう情報が、必要としている誰かの目に、静かに届いたらいいなと思っています。
