電気代の明細に、こっそり上乗せされているお金があるのをご存じですか?
「再生可能エネルギー発電促進賦課金」——通称、再エネ賦課金。難しそうな名前ですが、毎月あなたの電気代に含まれている、知っておいて損のない仕組みの話です。
そして今年、この賦課金がまた上がります。しかも今度は初めて4円台に突入する、過去最高の水準で。
6月から上がる「再エネ賦課金」とは何か
2026年5月検針分(電気料金明細では6月ごろ確認できる)から、再エネ賦課金の単価が4.18円/kWhに引き上げられます。昨年度(2025年度)は3.98円でしたので、0.2円の値上がりです。
「0.2円? たいしたことないじゃないか」と思われるかもしれません。でも、使用量が多い月はじわじわと効いてきます。
一般的な家庭の月間使用量(約400kWh)で試算すると:
- 月額:1,672円
- 年間:約20,064円
年間2万円以上が、この賦課金だけで飛んでいく計算です。2025年度は年間約19,104円でしたので、年間で約1,000円近く増えることになります。
そもそも、なぜこんなお金を払っているのか
再エネ賦課金が生まれたのは2012年のことです。国が「再生可能エネルギーを増やしたい」と考え、FIT制度(固定価格買取制度)を始めたのがきっかけです。
FIT制度とは、太陽光発電や風力発電などで作った電気を、電力会社が一定期間、国が決めた高い価格で買い取ることを約束する制度です。再エネはまだコストが高いので、通常の市場価格よりも高く買い取ることで、普及を後押ししようという仕組みです。
ただし、電力会社が高値で買い取るための費用は、どこかから持ってこなければなりません。その「どこか」が、電気を使うわたしたちです。使用量に比例して少しずつ集め、再エネを支える財源にしているのが再エネ賦課金の正体です。
要するに——「再エネを社会全体で育てるために、みんなで少しずつ出し合っている」というイメージです。
2012年から今まで、どのくらい上がってきたか
制度が始まった2012年度の単価は0.22円/kWhでした。それが2026年度には4.18円。14年間で約19倍に膨らんでいます。
再エネを導入する事業者が増えるほど、買取に必要なお金も増えます。しかも、太陽光や風力のコストは下がってきているのに、過去に高値で約束した契約はそのまま残っています。この「過去の約束の重さ」が、賦課金を押し上げ続けている大きな理由です。
「それ、おかしくない?」という声も
この制度に対して、「不公平だ」という声が根強くあります。
戸建て住宅に太陽光パネルを設置した家庭は、売電で毎月収入を得られます。一方、賃貸マンションや集合住宅に住んでいてパネルを設置できない人は、恩恵を受けられないまま負担だけを払い続ける構造になっています。
また、賦課金は使用量に比例するため、エネルギー消費が多い家庭ほど高い絶対額を払いますが、収入が少ない世帯ほど家計に占める割合が大きくなる「逆進性」の問題も指摘されています。
さらに構造上の皮肉として、電力の市場価格が安い年(例えば天然ガスが安い年)には、電力会社が高値買取との差額を多く補填する必要がなくなり、その分の穴埋めとして賦課金単価が上がるという、「電気が安い年ほど賦課金が上がりやすい」という逆説的な仕組みも存在します。
いつまで続くのか
この賦課金は、永遠に上がり続けるわけではありません。
FIT制度の買取期間は10〜20年の固定期間があります。2012年ごろに高値で結ばれた太陽光発電の契約が、2030年代には次々と満了(卒FIT)を迎えます。そうなると買取費用が下がり、賦課金も徐々に縮小していく見通しです。
専門家の試算によると、2030年前後がピーク(単価が5円台に達する可能性も)で、その後は下がり始め、2040〜2050年代にかけてゼロに近づいていくとされています。
「終わりはある」——ただし、それまでの約10〜20年は、電気代の一部として付き合い続けることになります。
今できることは「使う量を減らす」こと
残念ながら、個人が再エネ賦課金を「拒否」することはできません。電気を使う限り、自動的に課されます。
だからこそ、家庭でできる対策はシンプルに「電気の使用量を減らす」ことです。使用量が減れば、賦課金の実額も減ります。節電はECOだけでなく、この賦課金の節約にも直結します。
電力会社の切り替えを検討するのも一手ですが、再エネ賦課金はどの会社を選んでも同じ単価が適用されます(制度上、全国一律)。乗り換えで変わるのは、基本料金や使用量料金の部分です。
まずは自分の電気代明細の「再エネ賦課金」欄をチェックしてみてください。毎月いくら払っているか、意識するだけでも変わるかもしれません。
まとめ
- 2026年6月から再エネ賦課金が4.18円/kWhに(過去最高)
- 月400kWhの家庭では年間約2万円の負担
- FIT制度で再エネを高値買取する費用を電気使用者全員で分担する仕組み
- 2012年の0.22円から14年で約19倍に拡大
- 2030年前後がピークで、その後は縮小見通し
- 個人にできる対策は「節電」が最も直接的
「知らない間に払っていた」では損した気分ですよね。せめて仕組みを知っておけば、電気代の値上がりニュースにも少し違う目で向き合えるかもしれません。
