結論
2026年3月の日銀短観で、大企業製造業の景況感は4期連続で改善した。しかし同じタイミングで、プラスチック製品や輸送費の値上がりが続き、地域の飲食店では客足が遠のいている。マクロの数字と生活者の実感が、真逆の方向を向いている。
要点3つ
大企業はAI需要で支えられているが、中小は悪化
大企業製造業のDIはプラス17と改善が続く一方、中小企業の非製造業は2期ぶりに悪化した。半導体やデータセンター関連の恩恵は大手に集中しており、地域の飲食・小売には届いていない。

原油高が「川上から川下」へ連鎖している
原油価格の上昇は、プラスチック原料・輸送費・食品包装コストへと波及する。最終的に消費者の手元では食品や日用品の値上がりとなって現れ、家計の防衛意識を高めている。


先行きはさらに悪化見込み、日銀の判断が焦点
3ヶ月後の先行きDIは大企業製造業でプラス14、非製造業でプラス29と現状より低下する見通し。日銀は4月27〜28日の金融政策決定会合で利上げを判断するとみられており、その結果が中小・地域経済にどう影響するかが注目点だ。

背景ちょい足し
人手不足の深刻さもバブル期1991年並みが続いており、人件費の上昇圧力は根強い。値上げとコスト増が重なる環境の中で、観光客に頼らない地域密着型の店舗は、売上減とコスト増の二重苦に直面しやすい状況にある。

また今回の短観は、中東・イラン情勢悪化後の企業景況感を確認する初の調査でもあり、影響の本格化はこれからという見方もある。

ひとこと
「景気が良くなっている」と「近所が静かになっている」は、矛盾していない。同じ経済の中の、異なる場所で起きていることだ。数字の外側にある現実を、足元で感じながら読み解いていきたい。
