賃上げ5%超え、でも物価高には勝てない?2026年春闘のリアル

目次

結論

賃上げ5%超えは、数字だけ見れば確かにすごい。でも4月だけで2,500品目超の食品が値上がりし、原油高騰でそのコストはまだ上乗せされる可能性がある。大企業を中心に「過去最高」と言われても、中小企業の賃上げは置いてけぼり気味で、家計の体感としては「上がってる気がしない」が正直なところかもしれない。

要点3つ

① 5%超えは3年連続——でも中小企業は置いてけぼり

連合の第1次集計(3月23日時点)によると、2026年春闘の平均賃上げ率は5.26%。大手を中心に満額回答が相次ぎ、パナソニックや三菱電機も過去最高の賃上げとなった。

ところが中小企業に目を向けると4.65%にとどまり、連合が目標として掲げた「6%以上」にはほど遠い。さらに中小企業の間でも二極化が進んでいて、価格転嫁できている企業は大手並みの賃上げができる一方、原材料コストを転嫁できていない企業では1〜2%の定期昇給にとどまるケースも多い。

働く人の多くが中小企業に勤めている現実を考えると、「5%超え」の数字がそのまま自分の財布に直結するわけではない。

② 4月だけで食品2,500品目以上が値上がり

春から気が重いのが、怒涛の食品値上げだ。2026年4月の値上げ品目数は単月で2,516品目。年間累計では4,493品目にのぼり、平均値上げ率は15%に達する見込みとされている。

特に家庭の食卓に直撃するのが食用油の値上がり。日清オイリオグループ・昭和産業・J-オイルミルズなど大手各社が4月1日から8〜20%超の値上げを実施する。

値上げの理由として最も多く挙げられているのが「原材料高」(値上げ品目の99.9%)。加えて「人件費」(66.0%)、「物流費」(61.8%)と、あらゆるコストが重なり合っている状況だ。

③ 原油高騰で「第二波」の値上げも現実味

中東情勢の緊迫化を背景に原油価格が高止まりしていることで、食品・日用品のコストはさらに上がる可能性がある。輸送コストや包材コストへの波及は時間差で家計に届く。「4月の値上げを乗り越えたら一段落」とは言い切れない状況だ。

背景ちょい足し

そもそも日本では「名目賃金」と「実質賃金」のギャップが長年の課題だった。名目賃金が上がっても、物価の上昇率がそれを上回れば、生活の豊かさは実質的に下がってしまう。

2024〜2025年にかけて実質賃金がやっとプラス圏に戻り始めたところへ、原油高・食品値上げが重なった。「3年連続5%超えなのに、なぜ豊かになった実感がないのか」という声が出てくるのは、数字のマジックではなく、物価との競争に追いつけていないからだ。

中小企業に勤める人、非正規労働者、年金生活者——賃上げの恩恵が届きにくい人ほど、物価高の影響は直撃する。春闘の「平均」という言葉が、誰かの実態を隠してしまうことも忘れたくない。

ひとこと

「賃上げ5%」って聞くと、なんとなく明るいニュースに聞こえる。でも4月の食品値上げリストを見ていると、ため息が出る。給料の通知より、スーパーのPOPのほうが正直なのかもしれない。

かろうじて、大企業だけじゃなく中小企業にも賃上げの動きが広がっているのは確かで、そこはそれで、素直によかったと思う。ただ、「物価に勝てる賃上げ」になるまでには、もう少し時間がかかりそうだ。

今年の春、財布の重さで景気を実感できる日が来るといいなと思いながら——「よりみち」してみた。

一次情報・出典

この記事を書いた人

目次