1月の賃金は改善し、2月の街角の景気感も少し上向きました。
数字だけ見れば、ようやく日本経済にも明るさが戻ってきたように見えます。
それでも先行きに手放しで期待しにくいのは、景気が良くなりかけたところへ原油高という逆風が吹いているからかもしれません。
結論
1月の賃金統計と2月の景気ウォッチャー調査を見ると、日本経済には少しずつ明るさが戻りつつあります。1月の現金給与総額は前年同月比3.0%増、実質賃金もプラス、1月の景気先行指数も9か月連続で上昇しました。2月の景気ウォッチャー調査でも、街角の景況感を示す現状判断DIは48.9まで改善しています。
ただ、それでも先行きが強気になれないのは、原油高が再び家計と企業の重荷になりそうだからです。3月9日にはブレント原油が一時119.50ドルまで上昇し、2022年以来の高値圏となりました。景気が良くなりかけたところで、エネルギー高が“冷や水”になる構図です。
要点3つ
1. 給与はちゃんと改善している
1月の毎月勤労統計調査では、現金給与総額は30万1,314円で前年同月比3.0%増、所定内給与も3.0%増でした。実質賃金も「持家の帰属家賃を除く総合」で1.4%増、「総合」で1.6%増となり、名目だけでなく実質でも改善が見られました。
2. 街角の景気感も少し上向いた
2月の景気ウォッチャー調査では、現状判断DIが前月差1.3ポイント上昇の48.9となり、4か月ぶりに上昇しました。家計、企業、雇用のすべてで改善がみられ、内閣府は「景気は、持ち直している」とまとめています。
3. でも先行きだけは慎重なまま
景気ウォッチャー調査の先行き判断DIは50.0で、前月比0.1ポイント低下しました。さらに1月の景気動向指数は先行CIが112.4と上昇した一方で、足元の原油急騰が今後の物価や企業コストを押し上げる懸念があります。数字は良くても、この先まで安心しにくい理由がここにあります。
背景ちょい足し
今回おもしろいのは、「景気が悪いから不安」ではなく、「良くなりかけたところで原油高に止められるかもしれないから不安」という点です。1月の景気動向指数では先行指数112.4、一致指数116.8と、ともに上向きでした。そこへ原油高が重なると、ガソリン代だけでなく、物流費、食品価格、電気・ガス代にも波及しやすくなります。賃金が増えても生活コストが上がれば、家計の安心感は戻りにくい、というわけです。
ひとこと
ようやく見えてきた景気回復の芽に、また外から風が吹いてきた。
今回の不安は、不況の深さというより、回復の入り口で原油高に足を引っ張られるかもしれない不安なのだと思います。
