見送り濃厚の日銀会合——でも住宅ローン・奨学金・株価への影響は、もう始まっている

明日(4月27日)から、日本銀行の金融政策決定会合が始まる。

「また難しい話か」と思う人もいるかもしれない。でも今回ばかりは、ちょっと気に留めておいてほしい。住宅ローンを抱えている人、奨学金を返しているまたはこれから借りる学生、そして最近NISAを始めた人にも——この2日間の結果は、じわじわと家計に影響してくる話だ。

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今回の会合、利上げは「ほぼなし」——でも問題はその先

市場の予想では、4月28日(火)に発表される政策金利は、現行の0.75%のまま据え置かれる見込みだ。4月初めには「利上げの確率70%」と言われていたのが、今では8%程度にまで後退している。

なぜ急速に後退したのか。最大の理由は中東情勢だ。原油価格の変動、ホルムズ海峡の不安定さが続くなかで、「今はまだ判断できない」というのが日銀の本音とみられている。

では、次はいつか。市場では「6月」という見方が多い。そして6月に利上げが行われれば、政策金利は1.0%になる。

この数字、何でもないようで、実は大きな節目だ。

住宅ローン、変動金利が「1%の壁」を超えた

実は、もう動き始めている。

2026年4月、三井住友銀行やみずほ銀行など主要行の変動金利が、実質的に1%を超えた。これは数十年ぶりのことだ。

「まだ1%か」と思うかもしれないが、ここからが問題だ。たとえば3,000万円・35年ローンを組んでいる場合、金利が1%から2%に上がると月々の返済額は約1.5万円増加する。35年で計算すると、約630万円の追加負担になる。

ただし、変動金利には「5年ルール」という仕組みがある。金利が上がっても、返済額が変わるのは5年ごと。だから「急に払えなくなる」ということは起きにくい。その代わり、気づいたときには「元金が全然減っていなかった」という状況になりやすい落とし穴もある。

奨学金、今在学中の学生が一番リスクを抱えている

住宅ローンの話は聞いたことがある人も多いかもしれない。でも、あまり語られていないのが奨学金の金利だ。

実は奨学金の仕組みは、少し厄介な構造になっている。在学中は利子がつかないため「安心」と思いがちだが、問題は卒業時にある。JASSOの有利子奨学金(第二種)は、在学中に何年間借りても、利率が決まるのは「貸与終了時=卒業の時点」だ。つまり今大学に通いながら借りている学生は、自分が将来いくらの金利で返すことになるのか、まだ誰も知らない。

日本学生支援機構(JASSO)の有利子奨学金の固定金利は、2022年3月の卒業時点で0.369%だった。それが2026年1月時点では2.512%になっている。3年で約7倍だ。今在学中の学生が卒業するとき、金利がさらに上昇していれば、その高い金利が卒業後20年近くの返還全体に適用される。

数百万円を借りて2.5%の金利で20年返還した場合、総利息は約60〜70万円になる計算だ。「在学中にいくら借りているか」ではなく、「卒業時の金利が何%か」が、長い返還生活を左右する。最もリスクにさらされているのは、今まさに在学中の学生かもしれない。

これから進学を考えている家庭や、奨学金返還中・在学中の若い世代にとって、日銀の動向は教科書の話ではない。

株価にも「円高リスク」という影がある

日銀が利上げをすると、一般的に円高方向に動く。金利が高い通貨は買われやすくなるからだ。

円高になると困るのが輸出企業だ。トヨタやソニーなど、海外での売上を円換算したときに目減りが生じる。日経平均株価の6万円を支えているのは、こうした大企業の好業績でもあるため、急速な円高は株価の「頭打ち感」につながりやすい。

今回の会合では見送りが濃厚なため、株価への直接の影響は小さいとみられている。ただ、「6月に1.0%へ利上げ」という見通しが固まるほど、市場はその影響を先読みして動くようになる。

日経平均6万円という歴史的な数字の翌週に、こうした「次の利上げ」を巡る攻防が静かに始まっている。

「今日の話」ではなく「これから数年の話」

今回の会合で利上げがなかったとしても、大局的な流れは変わらない。

日銀はゼロ金利の時代に別れを告げ、少しずつ「普通の金利のある世界」に戻ろうとしている。それ自体は決して悪いことではない。長年のデフレから抜け出し、経済が正常化しているサインでもある。

ただ、それは同時に、30年近く「金利のない世界」で設計されてきた住宅ローン・奨学金・年金の仕組みが、少しずつ前提を変えていくことを意味する。

今日の日銀会合の結論よりも、その「変化の方向」を頭に入れておくことのほうが、長い目で見て大事かもしれない。

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この記事を書いた人

時事・経済・社会問題を「身近な視点」から読み解くライター。日常のちょっとした引っかかりを起点に、政治・経済・テクノロジーの動きを平易な言葉で伝えることをテーマにしている。よりみち世相録では、3分で読めるニュース解説を毎週更新中。

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