最近、ガソリンスタンドで「意外と安いな」と感じたことはありませんか。中東情勢が不安定で、原油価格が上がっているはずなのに、全国平均で1リットル170円前後が続いています。
これは偶然ではありません。政府が「ガソリン補助金」を出して、価格を人為的に抑えているからです。
ただ、その補助のお金が6月にも底をつくかもしれないという話が出てきました。そうなると、ガソリン代が突然上がる可能性があります。今日は、そもそもガソリン補助金とは何か、という基礎から整理してみます。
そもそも「ガソリン補助金」って何ですか
正式名称は「燃料油価格激変緩和補助金」といいます。名前は難しいですが、仕組みはシンプルです。
ガソリンの値段が高くなりすぎたとき、政府がENEOSや出光興産などの石油元売り会社にお金を渡します。元売り会社はそのお金を使って、ガソリンスタンドへの卸売価格を下げます。その結果、給油所の店頭価格が下がる——という仕組みです。
私たち消費者は申請も手続きも不要です。給油するだけで、自動的に値下げの恩恵を受けられます。
いつから始まったのか
この補助金が始まったのは2022年1月のことです。ロシアのウクライナ侵攻などの影響で原油価格が急騰し、ガソリンが200円を超えそうな勢いになったため、家計への打撃を和らげる目的でスタートしました。
それから今日まで4年以上、補助と終了と再開を繰り返しながら続いてきました。この4年間で使われた総額は6兆円を超えています。
今の補助はなぜ再開されたのか
実は補助金は2026年1月に一度終了していました。ところが今年3月、中東情勢が急激に悪化します。ホルムズ海峡の緊張が高まり、原油価格が急騰。そのままにすれば、ガソリンが200円近くになる恐れが出てきました。
そこで政府は3月19日から緊急措置として補助を再開。現在は1リットル170円を超えた分を全額補填する仕組みで運用されています。
今の補助単価は1リットルあたり35.5円。これがなければ、今頃ガソリンは200円を超えていた計算です。
6月に「枯渇」するとはどういうことか
問題は、補助金の財源です。
政府は3月末に、国の予備費から約8,000億円を補助金の基金に追加しました。合計で約1兆800億円の財源を確保したことになります。
ところが民間の試算では、このお金が早ければ6月初旬には底をつく可能性があるというのです。補助単価が高いほど消費が早く、原油価格や為替次第では予想より早く枯渇するリスクがあります。
| シナリオ | 枯渇時期 |
|---|---|
| 標準シナリオ | 約74日後(6月中旬頃) |
| 悲観シナリオ | 6月2日頃 |
財源が尽きれば、補助は自動的にストップします。政府が追加の予算を手当てしない限り、ガソリン代は一気に上がることになります。
補助が終わると、ガソリン代はいくら上がるのか
現在の補助単価(35.5円/L)がそのままなくなった場合、全国平均のガソリン価格は1リットルあたり約17〜35円程度上昇する見込みです。
たとえば月に50リットル給油する家庭なら、月850〜1,750円の負担増になります。年間では1万〜2万円以上の増加です。
特に影響が大きいのは、車が生活の中心になっている地方の家庭です。電車やバスが少なく、通勤や買い物にも車が欠かせない地域では、ガソリン代は節約しようのない固定費です。
「また補助が出るから大丈夫」ではない理由
「どうせまた補助が出るでしょ」と思う方もいるかもしれません。確かに過去4年間、補助は何度も延長・再開されてきました。
ただし、今回は少し状況が違います。予備費はすでにほぼ使い切っています。追加財源を確保するには国会の承認が必要で、補正予算を組む必要があります。参院選が近い政治状況の中で、どう判断されるかは不透明です。
また、補助金はあくまで「価格の急騰を一時的に和らげる」ための緊急措置です。補助がある間も、ガソリンの本来の価格水準は上がり続けています。補助で見えにくくなっているだけで、エネルギーの値上がりという現実は変わっていません。
まとめ——「安い」の裏側を知っておく
今のガソリンが170円前後で買えているのは、国民の税金で差額を補填しているからです。その財源が6月にも尽きる可能性があり、そうなれば値段は上がります。
家計の防衛策として、「補助が続く前提」で計画を立てるのはリスクがあります。ガソリン代が突然上がったときに慌てないよう、今から少し意識しておくことが大切だと思います。
電気・ガスの補助も終わり、ガソリン補助も6月が山場。エネルギー全体の「補助頼み」が、少しずつ限界を迎えようとしています。
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